【まとめ】イナビル 吸入懸濁用160mgセット
現在、抗インフルエンザ剤として「イナビル吸入粉末剤20mg」が発売されています。しかし、吸入力が弱い患者であれば、吸入が不良になるとの報告がいくつかあり、吸入製剤特有の問題がありました。例えば、「イナビル吸入粉末剤20mg」は4〜6歳の患者において、製薬メーカーから提供されている吸入確認笛を用いても粉末剤の吸入が不良となり罹病期間が延長するなどの報告がありました。
https://jphcs.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40780-017-0094-7
これらの背景から、2019年6月18日に「イナビル吸入懸濁用160mgセット」が製造販売承認を取得しました。この新剤型である「イナビル吸入懸濁用160mgセット」は生理食塩液を加えると白色の懸濁液となり、ジェット式ネブライザを用いて単回吸入投与するという薬剤です。「イナビル吸入懸濁用160mgセット」にはネブライザ吸入器が付属しており、事前にコンプレッサーとの適合性を確認する必要がありそうです。どのようなネブライザ吸入器が付属してくるのかは現在のところ不明です。
「イナビル吸入粉末剤20mg」は薬剤師が薬局内で吸入させるケースが多かったとは思いますが、「イナビル吸入懸濁用160mgセット」はネブライザーがある病院内で吸入させることが多くなる??のでしょうか。
ネブライザー式のため、「イナビル吸入粉末剤20mg」が吸入できない5歳未満の小児や高齢者など吸入力が弱い患者が対象となります。また「イナビル吸入粉末剤20mg」は苦味が強かったため、ネブライザーであれば、そのあたりも改善されそうです。
さらに「イナビル吸入粉末剤20mg」は添加剤として乳糖水和物を含有していたため、乳製品に対し過敏症の既往症がある患者は、慎重投与とされていたが、「イナビル吸入懸濁用160mgセット」は添加されておらず、慎重投与扱いにはならないこともポイントの一つになりそうです。
イナビル吸入懸濁用160mgセット
- 1バイアル中 ラニナミビルオクタン酸エステル水和物 166.1mg(ラニナミビルオクタン酸エステルとして 160mg)
- 添加剤 チロキサポール
- 生理食塩液を加えると白色の懸濁液となる。
- A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療
- 成人及び小児には、ラニナミビルオクタン酸エステルとして160mgを日本薬局方生理食塩液2mLで懸濁し、ネブライザを用いて単回吸入投与する。
- 本剤を吸入する際には、ジェット式ネブライザを使用すること。添付のネブライザ吸入器を使用する際に、事前にコンプレッサーとの適合性を確認すること。
- 1包装 : 5バイアル(ネブライザ吸入器 5個添付)
- 海外での販売はなし
- ネブライザーに懸濁した薬液を投入し、霧状にし、自発呼吸で薬剤を吸入
- 5歳未満の小児や、気管支喘息など肺機能が著しく低下している呼吸器疾患を合併する患者などを対象
- 既存薬では添加剤として乳糖水和物を含有していたため、乳製品に対し過敏症の既往症がある患者は、慎重投与とされていたが、今回の新製剤には添加されておらず、慎重投与扱いにはならない。
(参考 : 薬事・食品衛生審議 イナビル吸入懸濁用160mgセット)
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