【Q】処方箋や調剤録の保存場所は?

【A】患者のプライバシー保護に十分すれば処方箋や調剤録は薬局以外の場所での保管が可能である。ただし必要に応じて直ちに利用できる場所でなければならない。

1. 薬剤師法 (昭和35年法律146号) 第27条に規定する調剤済み処方箋の保存については、外部保存通知第2の1に掲げる基準を満たす場合には、外部保存通知第3に掲げる事項に留意したうえで、電子媒体により、薬局以外の場所で行うことを可能としたこと。また、外部保存通知第2の2に掲げる基準を満たす場合には、紙媒体の調剤済み処方せんの保存についても、薬局以外の場所で行うことを可能としたこと。

2. 薬剤師法第28条第3項に規定する調剤録の保存については外部保存通知第 2の1に掲げる基準を満たす場合には、外部保存通知第3に掲げる事項に留意したうえで、電子媒体により、薬局以外の場所で行うことを可能としたこと。また、外部保存通知第2の2に掲げる基準を満たす場合には、紙媒体の調剤録の保存についても、薬局以外の場所で行うことを可能としたこと。ただし、同条第1項の規定に基づき、必要に応じて直ちに調剤録を記入できる体制を整備しておかなければならないこと。

3.保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則 (昭和32年厚生省令第16号) 第6条に規定されている調剤済みの処方せん及び調剤録並びに高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付の取扱い及び担当に関する基準 (昭和58年厚生省告示第14号) 第28条に規定されている調剤済みの処方せん及び調剤録の保存についても、薬剤師法第27条に規定する調剤済み処方箋及び同法第28条第3項に規定する調剤録と同様の扱いとしたこと。

診療録等の外部保存を行う際の基準
紙媒体のままで外部保存を行う場合

(1) 第1に掲げる記録が診療の用に供するものであることにかんがみ、必要に応じて直ちに利用できる体制を確保しておくこと。
(2) 個人情報保護法等を遵守する等により、患者のプライバシー保護に十分留意し、個人情報の保護が担保されること。
(3) 外部保存は、診療録等の保存の義務を有する病院、診療所等の責任において行うこと。また、事故等が発生した場合における責任の所在を明確にしておくこと。

(医政発0325第15号, 薬食発0325第9号, 保発0325第5号平成25年3月25日)

【Q】創傷被覆材 (褥瘡) を薬局において院外処方箋で出すことができるか?

【A】創傷被覆材 (褥瘡) は院外処方箋に記載が可能である。

ただし以下の条件に合致する必要がある。
・在宅療養指導管理料※を算定している在宅での療養を行っている通院困難な患者
・皮下組織に至る褥瘡(筋肉、骨等に至る褥瘡を含む) (DESIGN分類D3、D4及びD5)を有する患者
(※在宅療養指導管理料‥病院側が算定する点数)

※原則3週間分の処方を限度となる。それ以上の期間を処方する場合にはコメント欄に理由が必要となる。

褥瘡の深達度分類
d1 : 持続する発赤
d2 : 真皮までの損傷
D3 : 皮下組織までの損傷
D4 : 皮下組織を越える損傷
D5 : 関節腔・体腔に至る損傷
(日本褥瘡学会)

償還価格は製品が属する機能区分と保険算定面積(重量)により設定されており、商品名ではなく、以下の4つの分類で決められている。
・真皮に至る創傷用
・皮下組織に至る創傷用(標準型)
・皮下組織に至る創傷用(異形型)
・筋・骨に至る創傷用

標準価格等は、メーカー等が設定した価格であり、保険請求できる金額よりも薬局が購入する価格の方が高くなることもある。(いわゆる逆ザヤ)

創傷被覆材の例
真皮に至る創傷用
デュオアクティブET(コンバテックジャパン-コンバテック)

二次治癒ハイドロゲル創傷被覆・保護材
デュオアクティブ(コンバテックジャパン-コンバテック)
デュオアクティブCGF(コンバテックジャパン-コンバテック)

【Q】10連休(GW)の薬局における休日加算の算定は?

【A】2019年4月27日から5月6日まで10連休になることを受けて、厚生労働省は長期連休における診療報酬等の取り扱いについて通知を出した。

診療報酬については、医科診療報酬の初診料、再診料、外来診療料および歯科診療報酬の初診料、再診料、調剤報酬の調剤料のそれぞれの休日加算については、「従前の通り」の取り扱いとすることを示した。

また、投薬や処方箋交付も、「従前の通り」の取り扱いとするとした。患者に長期旅行などの事情があり、処方箋の使用期間が交付日を含め4日を超える場合には、年月日を記載する。この処方箋は当該年月日の日まで有効となる。

また、投薬量が1回14日分を限度とする内服薬や外用薬を14日を超えて投与した場合などは、その理由を記載することが必要である。

「従前の通り」に具体例を以下に記載した。

①GW期間中に薬局を休みにした場合 (開局時間外という定義)

a. 薬局を休みにしているが、緊急で調剤した場合 (6時〜22時) →休日加算  140 / 100
b. 薬局を休みにしているが、緊急で調剤した場合 (22時〜朝6時) →深夜加算 200 / 100

※輪番制による休日当番保険薬局等 → aとbを同様に算定できる。(開局時間内であっても算定可能)

②GW期間に薬局を営業した場合 (開局時間内という定義)

開局時間内→夜間休日等加算 (40点)
開局時間外であれば①を算定できる。

例 : 開局時間を9時から19時とする。
1. 9時〜19時まで → 夜間休日等加算 (40点)
2. 19時〜22時 → 休日加算  140 / 100
3. 22時〜朝6時 → 深夜加算 200 / 100
4. 朝6時から朝9時まで → 休日加算  140 / 100

補足 :

・休日加算などを算定する場合は受付時間を記載する
・深夜は22時〜朝6時

4/27(土) 土曜日
4/28(日) 日曜日
4/29(月) 昭和の日(祝日)
4/30(火) 国民の休日(祝日に挟まれた祝日)
5/1(水) 即位の日(今年のみ祝日)
5/2(木) 国民の休日(祝日に挟まれた祝日)
5/3(金) 憲法記念日(祝日)
5/4(土) みどりの日(祝日)
5/5(日) こどもの日(祝日)
5/6(月) 振替休日(祝日)

【Q】薬剤感受性試験の中間(intermediate:I) の意味とは?

【A】S : susceptible (感受性)とR : resistant (耐性) に中間に位置するのが I : intermediate (中間) である。

 I : intermediate (中間) は一般的には治療に選択されない。検査の誤差を回避するために定められた範囲である。

ただし、大量投与が可能である薬剤(βラクタム系など、オーグメンチン + サワシリンなど) や移行性が高い部位 (尿中のニューキノロン系など) であれば効果が期待できると考えられる。

【Q】シダトレン舌下液からシダキュア舌下錠への切り替え方法は?

【A】シダキュア舌下錠への切り替えは、剤型変更ではなく、薬剤変更であるため、増量期 (シダキュアスギ花粉舌下錠2,000 JAU) からの開始となる。

シダキュア舌下錠は新医薬品の処方日数制限にも該当する薬剤であることからも剤型違いでなく、別薬剤の扱いとなる。

通常、投与開始後 1 週間は、シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAUを1日1回1錠、投与 2 週目以降は、シダ キュアスギ花粉舌下錠5,000JAUを1日1回1錠、舌下にて 1分間保持した後、飲み込む。その後 5 分間は、うがいや飲食を控える。
(シダキュア舌下錠 添付文書)

【Q】レグナイト錠300mgの専用保管袋における安定性は?

【A】専用保管袋下の保存でレグナイト錠300mgは、夏場など25℃以上の高温、75%RH以上の高湿度にならなければ、3ヶ月間安定と考えられる。

専用の保管袋で保存後、25℃、75%RHの条件で3ヶ月安定だが、30℃、75%RHの条件であれば、3ヶ月後に類縁物質及び類縁物質総量の増加が認められた。

保存時:本品の品質は熱・湿気の影響を受けるので、高温での保存を避け、涼しい場所で保存すること。また、内袋開封後は乾燥剤が封入された専用の保管袋に入れ、高温・湿気を避け、涼しい場所で保存すること。

(レグナイト錠300mg 添付文書)

加速試験
【条件 : 40℃、75%RH、暗所、PTP/アルミ包装(乾燥剤入り)】
→6カ月で個々の類縁物質及び類縁物質総量の増加

【条件 : 湿度25℃、75%RH暗所、プラスチックボトル開放】
→3カ月で個々の類縁物質の増加

専用の保管袋における安定性試験
【条件 : 30℃、75%RH、PTP/アルミ保管袋(乾燥剤入り)】
→3カ月で個々の類縁物質及び類縁物質総量の増加

【条件 : 25℃、75%RH、PTP/アルミ保管袋(乾燥剤入り)】
→3カ月で変化なし

(レグナイト錠300mg インタビューフォーム )

【Q】医薬品回収のクラスI・II・Ⅲの違いは?

【A】医薬品回収は健康被害の程度によりクラスI・II・Ⅲに分類される。

クラスI : その製品の使用等が、重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る状況をいう。

クラスII : その製品の使用等が、一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性がある状況又はその製品の使用等による重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況をいう。

クラスIII : その製品の使用等が、健康被害の原因となるとはまず考えられない状況をいう。

(平成26年11月21日薬食発1121第10号厚生労働省医薬食品局長通知「医薬品・医療機器等の回収について」)

【NEWS】アムバロ配合錠「ファイザー」 自主回収

【内容まとめ】
・海外で製造されたアムバロ配合錠「ファイザー」の原薬バルサルタンから、発がん性があると考えられる①N‐ニトロソジエチルアミン②N‐ニトロソジメチルアミンが検出されたため、自主回収となる(クラスⅠ)。

① N‐ニトロソジエチルアミン‥最大0.23ppmが検出された。(許容限度値0.166ppm)

② N‐ニトロソジメチルアミン‥最大0.10ppmが検出された。(許容限度値 0.599ppm)

注釈
※ppm : 100万分の1 (parts per million)
※クラスI 自主回収 : その製品の使用等が、重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る状況

これまでに健康被害の報告はございません。また、患者様の判断による本剤の服用中止は高血圧症の悪化のリスクがあるため、主治医または薬剤師にご相談ください。
(ファーザー株式会社プレスリリースより )

【コメント】これまでに医薬品 (血液製剤を除く) のクラスⅠ 回収は2015年に1件 (プラス3号輸液 200mLFCとラクトリンゲルM注「フソー」 200mLFCの充填誤り)、2012〜2014年は0件と少ない。今回、回収となるアムバロ配合錠「ファイザー」の原薬はMylan Laboratories Limited (Unit-8) で製造された。ファイザーとMylanは業務提携していることから当該製造所で製造されたと考えられる。売上世界第2位のファイザーから発売されている後発品であり、各社報道機関で大きく取り上げられている。

【Q】飛行機に乗る際にインスリンや針を持ち込むことはできるか?

【A】以下の例に示すとおり、各航空会社によって対応が異なるため、各社に問い合わせることが必要と考えられる。ただし、日本の航空会社であれば国内旅行の場合は診断書や事前申告も不要と考えられる。

・保安検査 (手荷物検査など) の際に自己注射器(針)であることを伝える。

・診断書は不要であるが、内容を明示できるもの (主治医の証明書、糖尿病患者用IDカード (日本糖尿病協会で発行)など)があれば無難である。(海外であれば、英文表記が必要)

・事前申告も不要

(ANA、JAL、Peach Aviation、Vanilla Air、STARFLYERなど)

カタール航空には下記の記載があり、発行日がご出発日の1 ヵ月以内の診断書が必要となっている。

・前にカタール航空に連絡が必要

・医師からの英文の診断書が必要

・診断書は発行日がご出発日の1 ヵ月以内のもの

・診断書の内容

1. 糖尿病であるが健康状態は安定している。
2. 飛行機での旅行には全く支障がない
3. 機内でのインスリン注射を行う必要性がある。
以上、3 点を明記したものをご用意下さい。また現地での保安検査、税関でのトラブルを避ける為、医師からの書状により、医薬品の内容を証明できるようにお願いいたします。尚、ご取得いただいた診断書は弊社カタール航空への提出は一切不要ですが、必ずご旅行中はご携帯下さいますようお願い致します。

【Q】室温・常温・冷所とは?日本薬局方における定義

【A】

室温は1〜30°C、常温は15〜25°Cである。その他、日本薬局方で定める定義を以下に記載する。

  • 室温 1〜30°C
  • 標準温度 20°C
  • 常温 15〜25°C
  • 微温 30〜40°C
  • 冷所  1〜15°C
  • 冷水 10°C以下
  • 微温湯 30〜40°C
  • 温湯 60〜70°C
  • 熱湯 約100°C
  • 冷浸 15〜25°C
  • 温浸 35 〜45°C