PPI

 

【Q】低用量アスピリンの胃腸障害にH2遮断薬は有効か?ガスターなど

【A】以下の報告により、低用量アスピリンの投与時にはH2ブロッカーよりもPPIの併用が望ましいと考えられる。ただし、H2ブロッカーは低用量アスピリンの胃腸障害を低下するとの報告もあるため、臨床現場での判断となる。

低用量アスピリンが投与された日本人患者に対してはPPI投与によって胃十二指腸潰瘍およびびらんの両方のリスクが低かった (オッズ比1.83 (1.18 – 2.88 p = 0.00082)) 。しかし、H2ブロッカーを投与された患者は、びらんのリスクは低下したが、胃十二指腸潰瘍リスクは低下しなかったと報告がある。(MAGIC STUDY)

Risk factor profiles, drug usage, and prevalence of aspirin-associated gastroduodenal injuries among high-risk cardiovascular Japanese patients: the results from the MAGIC study. J Gastroenterol. 2014 May;49(5):814-24

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23754512

 

日本人の胃酸分泌能は欧米人より低いこと、Hp 感染率が高く胃粘膜萎縮を来たしている症例が多いことより、常用量のH2ブロッカー でも日本人における低用量アスピリン起因性潰瘍の予防になるかもしれない。

中島さやか,新井晋,石井恵子ほか.低用量アスピリン潰瘍に対する抗潰瘍薬の予防,治療効果の検討.

(消化器科 2007;45:273-6)

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【Q】クロピドグレルの胃腸障害にH2遮断薬は有効か?ガスターなど

【A】以下の報告から、クロピドグレルの胃腸障害にH2遮断薬が有効である可能性が低く、PPIの投与が望ましいと考えられる。臨床現場での判断となる。

 

クロピドグレルの単独投与で上部消化管出血のリスクは増加する。H2ブロッカーの併用投与では上部消化管出血のリスクは減少しないが、PPIの併用投与により減少すると報告がある。

UEffect of antisecretory drugs and nitrates on the risk of ulcer bleeding associated with nonsteroidal anti-inflammatory drugs, antiplatelet agents, and anticoagulants. Am J Gastroenterol 2007;102: 507-15.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17338735

 

低用量アスピリンが投与された日本人患者に対してはPPI投与によって胃十二指腸潰瘍およびびらんの両方のリスクが低かった (オッズ比1.83 (1.18 – 2.88 p = 0.00082)) 。しかし、H2ブロッカーを投与された患者は、びらんのリスクは低下したが、胃十二指腸潰瘍リスクは低下しなかったと報告がある。(MAGIC STUDY)

Risk factor profiles, drug usage, and prevalence of aspirin-associated gastroduodenal injuries among high-risk cardiovascular Japanese patients: the results from the MAGIC study. J Gastroenterol. 2014 May;49(5):814-24

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23754512

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【Q】プラビックス (クロピドグレル) とPPIの併用は?

【A】プラビックス (クロピドグレル) は上部消化管出血のリスクがあるため、PPI (プロトンポンプ阻害薬) などの併用が推奨される。しかし、クロピドグレルはCYP2C19により代謝されて活性化するため、PPIとの相互作用 (CYP2C19) によりクロピドグレルの作用が減弱する可能性がある。

そのため、PPIとの併用については臨床現場での判断となる。

 

以下詳細を記載する。

・クロピドグレルはCYP2C19で代謝される。CYP2C19を阻害するオメプラゾールとは併用注意となっている。 (プラビックス 添付文書より)

・FDA (アメリカ食品医薬品局) もクロピドグレルとオメプラゾールの併用回避を推奨している。

・クロピドグレルとオメプラゾールを併用しても心血管イベントは有意な差がなく、上部消化管出血を有意に低下させたと報告がある。(N Engl J Med)  (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20925534)

・PPIは主に代謝CYP2C19で代謝されるが、エソメプラゾールは代謝におけるCYP2C19の寄与率はオメプラゾールよりも小さく、CYP2C19遺伝子型による薬物動態及び薬力学的作用の個体間変動は小さいとされている。

・クロピドグレル単独投与における上部消化管出血のOdds比は2.3 (95% 信頼区間:0.9-6.0)と報告がある。

(Upper gastrointestinal bleeding associated with antiplatelet drugs. Aliment Pharmacol Ther. 2006 Jan 15;23(2):235-42.)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16393302

・クロピドグレルによる上部消化管出血のOdds比は2.1(95% 信頼区間:1.5-2.9)。しかし、そのOdds比はPPI の併用投与により0.9(95% 信頼区間:0.4-2.3)にまで減少する。

(Upper gastrointestinal bleeding associated with antiplatelet drugs. Aliment Pharmacol Ther. 2006 Jan 15;23(2):235-42.)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16393302

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【Q】PPIによる下痢の副作用は?機序は?

【A】PPIによる膠原性大腸炎 (collagenous colitis : CC) が考えられる。PPIを中止することで下痢が消失したという症例報告もある。以下参考。

・CC‥慢性水溶性下痢の原因であり、大腸内視鏡所見がほぼ正常で病理学的に特徴的な炎症所見を呈する疾患。大腸生検にて粘膜上皮直下に10μm以上のcollagen bandの形成と炎症細胞湿潤を認める。CCの要因については解明されていない。原因薬としてはNSAIDsやPPIやSSRIなどが考えられる。

・PPIがCCを発症させる機序は大腸上皮細胞のプロトンポンプを阻害することによって大腸粘膜分泌の組成やpHが変化し、粘膜局所の免疫反応が誘導補強され、炎症や組織修復性の膠原線維が沈着する。

・2009年時点で日本での報告は182例で男女比は50 : 132, 平均年齢は69.9歳、ランソプラゾール服用例93例 (内服期間は3日から2年) 。ランソプラゾール中止による症状軽快は90.4%と高値。

・ラベプラゾールなどの他のPPIでも報告あり。

・ランソプラゾールを中止すると下痢が消失したという症例報告がある。
Collagenous colitisを発症した腹膜透析患者の1例
当院でみられたcollagenous colitis7例の臨床的検討 (三菱京都病院)

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【Q】酸化マグネシウムとPPI・H2遮断薬との相互作用は?

【A】酸化マグネシウムと酸分泌抑制剤 (PPI・H2遮断薬)を併用することにより酸化マグネシウムの緩下作用が減弱すると考えられている。

酸化マグネシウムの生体内における反応は

胃内 : 2HCl + MgO →MgCl2 +H2O

腸管内 : MgCl2 + 2NaHCO3 → 2NaCl + Mg(HCO3)2である。 生成物Mg(HCO3)2が腸管内の浸透圧を高めて腸内に水分を引き寄せることで排便を促すという機序である。

しかし、酸分泌抑制剤を併用した場合は上記の反応がおこりにくく、 Mg(HCO3)2の生成が減少するため、酸化マグネシウムの作用が減弱することが予想される。

実際に酸化マグネシウム単独群と酸分泌抑制剤併用群の2群に分け、それぞれの排便状況を調査した報告を以下に紹介する。

・酸分泌抑制剤併用群 (PPI・H2遮断薬) は酸化マグネシウム単独群に比べ、排便コントールに要した酸化マグネシウムの投与量が有意に多かった。

・併用群は他の下剤の追加が必要となるなど排便コントロールは不良となった。

・酸化マグネシウムと酸分泌抑制剤を併用している患者が排便コントロール不良の場合には、他の作用機序の異なる緩下剤の作用も検討する必要がある。

 

(中国労災病院医誌 vol23, 36-39, 2014)

http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/201502215675600150

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【Q】タケプロンOD錠は粉砕可能か?

【A】原則として、腸溶性細粒を含む口腔内崩壊錠のため不可である。

しかし、乳鉢などで軽く粉砕するなど腸溶性細粒をすりつぶさなければ粉砕可能である。

粉砕可能PPIとしてタケキャブ錠が挙げられる。
『タケキャブ錠の粉砕後の安定性』
温度40℃,60%RH,暗所の条件下で観察した結果、三ヶ月後まで外観、含量について特に問題となる変化なし。

【参考資料】錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック 第7板

 

※粉砕の可否については各施設の医療担当者の裁量と判断になります。

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【Q】アスピリン+クロピドグレル服薬患者にPPIの追加は必要か?

【A】PPIを併用することで消化管イベントの発生を低下することが報告されている。

対象 : 3873名

・アスピリン+クロピドグレル+オメプラゾール
・無作為化プラセボ対照試験
・心血管イベント、重篤な有害事象は変わらずオメプラゾール追加群で消化管イベントの発生低下

(Bhatt DL et al. Clopidogrel with or without Omeprazole in Coronary Artery Disease. NEJM. October 6, 2010)

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1007964

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