特徴まとめ(かなり簡潔に記載)
- エンレストは「ARBであるバルサルタン」と「ナトリウム利尿ペプチド作用に関与するサクビトリル」が含有されている
- ARBで血圧を下げ、ナトリウム利尿ペプチド作用により利尿作用を促進させ、慢性心不全の進行をおさえるという薬剤
- ナトリウム利尿ペプチド作用のある薬剤として「ハンプ注射」があげられる
- 心不全にはエナラプリルが推奨されていたが、大規模臨床試験でエンレストはエナラプリルの効果を上回っている
成分
- サクビトリルとバルサルタンナトリウムを水和して結合された複合体
- サクビトリルとバルサルタンナトリウムはモル比 1:1
- サクビトリルはプロドラッグであり、吸収後3〜4時間で活性体に変換される
薬効・使用に関する注意点
- プリライシン(NEP)阻害作用とアンジオテンシンIIタイプ 1 (AT1)受容体拮抗作用をもつ
- 適応は慢性心不全のみ
- 「慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。」つまり、エンレストから治療開始はできない
- ARBやACEから切り替えて使用開始することが必要
- 初回は「1回50mg1日2回 (100mg/日)」から開始。2〜4週間間隔で、増量し、MAX400mg/日まで増量可能。
- エンレスト中にはバルサルタンに換算すると約1/2量のバルサルタンが含有。(エンレスト100mgに中にバルサルタン51.4mg)
- ACEとは全て禁忌。理由は血管浮腫が生じるためである。エンレスト錠を投与開始36時間前にACEは中止すること。
- エンレストはACEとではなく、ARBと結合された理由は、ACEだと血管浮腫の副作用が強くでるためと考えられる
副作用
- バルサルタンが含有されており、過度な血圧低下に注意が必要である。
- バルサルタンナトリウムによりK上昇がみられる可能性あり
- サクビトリルによるネプリライシンの阻害→ナトリウム利尿ペプチド作用亢進により、Na上昇がみられる可能性がある
製剤の特徴
- 100mg錠の規格のみ割線あり
- 無包装状態の安定性データより一包化は可能と考えられる。
- フィルムコーティング錠