【コメント】イナビル吸入粉末剤20mgの薬剤トレーが透明に変更となり、吸入後の残量を視覚的に確認できるようになった。さらに、外装袋は「薬の吸い残しをなくすために、もう一度繰り返してください」の注意喚起が見やすい表示に変更となった。
第一三共株式会社 吸入容器仕様変更等のご案内
(https://www.medicallibrary-dsc.info/announce/other/pdf-data/2018/1801pack_ina_20.pdf)
これまでに、吸入力が弱い小児において有効成分を十分に吸入できない可能性があることや繰り返し吸入することで吸入量が増加し十分に吸入できる可能性があるという報告がある。以下の文献を参考。
Impact of the number of repeated inhalations and patient characteristics on the residual amount of inhaled laninamivir octanoate hydrate dry powder in pediatric patients with influenza
【日本語訳】 インフルエンザ小児患者におけるラニナミビルオクタン酸エステル吸入剤の残量率に対する吸入回数および患者因子の影響の検討
【アブストラクト】
【背景】吸入用抗インフルエンザ薬であるラニナミビルオクタン酸エステルのドライパウダーインヘラー(ラニナミビルDPI)は、最大吸気流速(PIF)が低い小児患者では有効成分を十分に吸入できないことが報告されている。本研究では、小児患者を対象に、残量率に対する吸入回数及び患者因子の影響を及ぼす因子について前向きに調査した。
【方法】2016年1月から3月に津市夜間こども応急クリニックにおいて、ラニナミビルDPI(イナビル®吸入粉末剤20 mg、第一三共(株))が処方された患者64名を対象とした。対象患者は薬剤師による吸入指導の後、4回吸入を繰り返し行なった。吸入前後でラニナミビルDPIの重量測定により薬剤残量率を算出し、残量率が > 20%の場合を吸入不十分とした。
【結果】2回繰り返し吸入後の吸入率が不十分であった患者は45%であり、吸入回数が増加するにつれて減少し、4回吸入後は23%に達した。1から4回吸入後の全てにおいて吸入不十分例はPIFが有意に低かった。ROC解析により吸入不十分例のPIFのカットオフ値を算出したところ、それぞれ150、130、110、110 L/minであった。
【結論】2回の吸入の場合、PIFが低い小児患者では有効成分を十分吸入ができていない場合がある。PIFが低い小児患者ではラニナミビルDPIを3回または4回繰り返し吸入する必要がある。