ラゲブリオカプセルの簡潔まとめ

新型コロナウイルスの治療薬であるラゲブリオカプセルが2021年12月24日に厚生労働省から特例承認されました。

ラゲブリオカプセル200mg (成分名 : モルヌピラビル)の適用は新型コロナウイルスのみで、18歳以上を対象に、8Cp分2 (1600mg)を5日間服薬する薬剤です。0号カプセルであり、長径2.17cmと大きく、かつ1回4Cpと服薬数が多いことが特徴です。妊婦に対して禁忌であることも注意が必要です。

ラゲブリオカプセル

  • 8Cp分2 (1600mg)を5日間服薬
  • 包装 : 1瓶 = 40Cp (1人分)室温保存
  • 18歳以上
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には禁忌
  • 重症化リスク因子を有する軽症・中等症患者が対象 →下記を参考
  • 発症後、速やかに投与。5日以内。
  • 食事の影響はなし
  • 副作用は「下痢や悪心、嘔吐などの胃腸障害」、「めまい・頭痛」など
  • 腎機能による用量調節は不要

 

「重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者」
日本感染症学会の「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第11報」2021年12月24日

・61歳以上
・活動性の癌(免疫抑制又は高い死亡率を伴わない除く)
・慢性腎臓病
・慢性閉塞性肺疾患
・肥満 (BMI30kg/m2 以上) 
・重篤な心疾患 (心不全、冠動脈疾患又は心筋症) 
・糖尿病
・ダウン症
・脳神経疾患 (多発性硬化症、ハンチントン病、重症筋無力症等) 
・コントロール不良の HIV感染症及びAIDS#
・肝硬変等の重度の肝臓疾患
・臓器移植、骨髄移植、幹細胞移植後
# ここでのAIDSは免疫抑制された病態 (CD4リンパ球数が200/mm3以下、HIV RNA が100,000copies/mm3以上等)を指す。

MOVe-OUT(002)試験の組み入れ基準における重症化リスク因子

・61歳以上
・活動性のがん (免疫抑制又は高い死亡率を伴わないがんは除く)
・慢性腎臓病
・慢性閉塞性肺疾患
・肥満 (BMI 30 kg/m2 以上)
・重篤な心疾患 (心不全、冠動疾患又は心筋症) 
・糖尿病

「診療の手引き」 (第6.1版) における重症化リスク因子
※妊婦への投与は禁忌のため除く
・65歳以上の高齢
・悪性腫瘍
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
・慢性腎臓病
・2型糖尿病
・高血圧
・脂質異常症
・肥満 (BMI 30 以上 )
・喫煙
・固形臓器移植後の免疫不全

英国でのPANORAMIC試験の組み入れ基準における重症化リスク因子

・慢性呼吸器疾患(慢性閉塞性疾患 (COPD) 、嚢胞性線維症、喘息を含み、少なくとも毎日予防薬や緩和薬を使用する必要がある。) 
・慢性的な心臓または血管の病気
・慢性腎臓病
・慢性的な肝疾患
・慢性神経疾患  (認知症、脳卒中、てんかんを含む) 
・重度の学習障害
・ダウン症
・糖尿病  (I型またはII型)
・免疫抑制 : 一次性 (例 遺伝子変異による遺伝性免疫疾患、 常は出生時に発症し小児期に診断される) または疾患や治療による二次性 (例 鎌状赤血球、 HIV、癌、化学療法) 
・固形臓器、骨髄、幹細胞の移植後
・病的な肥満 (BMI>35) 
・重度の精神疾患
・ケアホーム居住者 
・臨床医または看護師が 臨床的に脆弱と判断した場合