問206
60歳男性。体重50kg、体表面積1.5m²。再発直腸がんで外来通院しながら以下の化学療法(処方1、2)を受けることになり、化学療法施用当日の夕方17時に来院した。医師の指示のもと薬剤師が施用準備のため安全キャビネットでオキサリプラチン点滴静注液を輸液Aで希釈した。施用直前に患者が体調不良を訴えたため、翌日10時に再来し施用することになった。看護師は薬剤師に輸液Aで希釈したオキサリプラチン点滴静注液が翌日使用できることを確認し、速やかに冷所保存した。
(処方1)
カペシタビン錠300mg 1回5錠(1日10錠)
1日2回 朝夕食後 14日分
(処方2)
オキサリプラチン点滴静注液 輸液A 200mg 持続静注2時間かけて
問206(実務)
薬剤師がオキサリプラチン点滴静注液の希釈に用いた輸液Aはどれか。1つ選べ。
- 5%ブドウ糖注射液 250mL
- 乳酸リンゲル液 500mL
- 生理食塩液 250mL
- 7%炭酸水素ナトリウム注射液 250mL
- ビタミンB₁・糖・電解質・アミノ酸液 500mL
(引用 厚生労働省 第104回薬剤師国家試験問題及び解答(平成31年2月23日、2月24日実施)https://www.mhlw.go.jp/content/000491254.pdf)
問206
注射薬の希釈液は基本的に5%ブドウ糖注射液か生理食塩水です。
- 〇
- × 乳酸リンゲル液は塩化カルシウム(CaCl₂)、KCl(塩化カリウム)、NaCl(塩化ナトリウム)を含有します。オキサリプラチン(商品名:エルプラット)の希釈に乳酸リンゲル液を用いると、乳酸リンゲル液に含まれる塩化物イオンによってオキサリプラチン(商品名:エルプラット)が分解してしまいます。
- × 生理食塩液は0.9%NaClなので、オキサリプラチン(商品名:エルプラット)の希釈に生理食塩液を加えると、生理食塩液に含まれる塩化物イオンによってオキサリプラチン(商品名:エルプラット)が分解してしまいます。
- × オキサリプラチン(商品名:エルプラット)は、塩基性溶液により分解するため、塩基性溶液との混和あるいは同じ点滴ラインを用いての同時投与は行わないこととされています。
- × 高カロリー輸液とは基本的には混合しません。また、同様に、電解質中の塩化物イオンによってオキサリプラチン(商品名:エルプラット)が分解します。
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