問282−283
66歳男性。身長168cm、体重51kg。胃がんによる胃全摘術後に中心静脈栄養法を実施している。糖尿病の既往があり、血糖値上昇が見られたため、インスリンを投与することになった。輸液セットは感染予防のためフィルターを組み込んだ閉鎖回路としている。医師より「インスリン ヒト(遺伝子組換え)注射液100単位/mLを生理食塩液で希釈して50単位分調製し、投与する」よう指示があっ た。看護師から調製したインスリン注射液の投与法について質問があったため、薬剤師は、以下の模式図を書いて説明を行った。
問282(実務)
調製したインスリン注射液の投与法として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- 輸液バック内液に添加して持続静注する。
- Aよりシリンジポンプで持続静注する。
- Aより急速静注する。
- Bよりシリンジポンプで持続静注する。
- Bより急速静注する。
問283(薬剤)
前問の投与法を選択した理由に最も深く関係する事象はどれか。1つ選べ。
- 希釈によるインスリンの自己会合の促進
- 輸液フィルターへのインスリンの吸着
- 輸液成分とインスリンの相互作用
- シリンジ内壁へのインスリンの吸着
- 輸液セット内でのインスリンの分解
(引用 厚生労働省 第104回薬剤師国家試験問題及び解答(平成31年2月23日、2月24日実施)https://www.mhlw.go.jp/content/000491254.pdf)
問282
- × インスリンは輸液フィルターの膜に吸着しやすいので、輸液バッグに添加するのは不適です。
- ×
- × インスリンを急速静注すると低血糖のおそれがあります。
- 〇
- ×
問283 ②
輸液中には高極性物質(糖、アミノ酸など)と低極性物質(インスリンなどのペプチド、タンパクなど)が溶解しており、その低極性物質が輸液フィルター表面の疎水性部分と疎水性相互作用をおこすことで吸着します。
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