【薬剤師国家試験 実務 第104回 問252−253】

問252−253

79歳女性。この3年間、心不全(NYHAⅢ度)に対して同一の薬剤で薬物治療を行ってきた。この度、体動時の息切れがひどくなり、精査加療のために入院となった。検査の結果、体液貯留と浮腫の増悪が認められた。カンファレンスで薬物治療が再検討され、新たに1つの薬剤が追加となった。検討後の処方内容は以下のとおりである。

(処方)
フロセミド錠40mg  1回2錠(1日2錠)1日1回 朝食後 7日分

スピロノラクトン錠25mg   1回2錠(1日2錠) 1日1回 朝食後 7日分

トルバプタン錠15mg  1回1錠(1日1錠) 1日1回 朝食後 7日分

ロサルタンK錠25mg  1回2錠(1日2錠) 1日1回 朝食後 7日分

ワルファリンK錠1mg  1回1錠(1日1錠) 1日1回 朝食後 7日分

カルベジロール錠2.5mg   1回1錠(1日2錠) 1日2回 朝夕食後 7日分

問252(実務)

追加された薬剤の投与開始日から、頻回に測定する必要性が最も高い検査値はどれか。1つ選べ。

  1. 血清ナトリウム濃度
  2. 血清カリウム濃度
  3. 血清クレアチニン値
  4. 血清アルブミン値
  5. PT−INR値

問253(薬理)

この患者の背景から新たに追加された薬物の作用機序を踏まえ、前問の検査値を測定する理由として適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. バソプレシンV2 受容体を遮断することで、電解質の排泄を伴わない利尿効果が現れ、高ナトリウム血症を引き起こす可能性がある。
  2. アルドステロン受容体を遮断することで、K+ の排泄が抑制され、高カリウム 血症を引き起こす可能性がある。
  3. アンジオテンシンⅡAT1 受容体を遮断することで、血清クレアチニン値の上 昇を特徴とする腎機能障害を引き起こす可能性がある。
  4. ヘンレ係蹄上行脚のNa+/K+/2Cl- 共輸送系を阻害することで、血清アルブミン値の低下を特徴とするネフローゼ症候群を引き起こす可能性がある。
  5. ビタミンKの作用に拮抗することで、プロトロンビン時間が延長し、出血のリスクが高まる可能性がある。

(引用 厚生労働省 第104回薬剤師国家試験問題及び解答(平成31年2月23日、2月24日実施)https://www.mhlw.go.jp/content/000491254.pdf)

問252

1.〇 処方薬の中で今回追加されたと考えられるのはトルバプタン(商品名:サムスカ)であると考えられます。トルバプタン(商品名:サムスカ)は入院下で投与を開始又は再開する必要があります。その理由は急激な血清ナトリウム濃度が上昇する可能性があるためです。血清ナトリウム濃度は頻回測定する必要があると考えられます。

トルバプタン(商品名:サムスカ)はループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全の体液貯留に用います。トルバプタン(商品名:サムスカ)は腎集合体でバソプレシンV₂受容体を遮断し水分の再吸収を抑制します。この際電解質の再吸収を抑制する作用はないので高Na血症に注意する必要があります。

2.×

3.×

4.×

5.×

問253

1.〇

2.× スピロノラクトン(商品名:アルダクトン)の記述です。

3.× ロサルタン(商品名:ニューロタン)の記述です。

4.× フロセミド(商品名:ラシックス)の記述です。

5.× ワルファリン(商品名:ワーファリン)の記述です。

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